Google Workspaceでのマニュアル作業からは卒業する時期が来た
私たちは、コロナ明けの2023年にシンガポールでの事業を開始しました。最初は数名でのオフィスの立上げからだったため、多くのベンチャー企業・成長企業と同じく、人事・会計・契約管理等のバックオフィス業務はGoogle Workspaceでのマニュアル作業でした。
しかし、東南アジアでの急激な事業拡大に伴い、メンバーも増え、様々な国でプロジェクトを推進しており、限界はすぐに訪れました。そのため、昨年から自らのバックオフィス業務のデジタル化・効率化を進めており、その中で私たち自身が直面した課題とデジタル化を進めたことによる効果、また、その進め方を紹介します。
背景と課題:海外拠点で本社の基幹システムは重すぎる
FGDの拠点立ち上げ期において、私たちは以下の2つの極端な選択肢の間で「IT投資のジレンマ」に直面していました。
親会社の基幹システム
- メリット:高度なガバナンスと機能性
- デメリット:今の組織サイズには「Too Much」。導入コストと期間が事業スピードに
- 合わない
スプレッドシートによるマニュアル管理
- メリット:コストゼロ、即時性
- デメリット:情報の断片化、更新漏れ、属人化、ミスの多発、そして何よりリアルタイムな経営判断の阻害
まだ、数名の組織で、数千人が利用している本社のシステムは機能としてToo Muchで、コスト的にもシステムの管理作業としてもそこまでの必要性はなかったため、まずはマニュアル管理でスタートしました。
ただ、組織として大きくなっていく中で、毎月の勤怠・出張経費精算をスプレッドシートで受け取り、集計してまとめて、給与・経費の支払い手続きを進めてといった作業や、契約・請求・入金の管理・承認をChatベースでのフォローアップの負荷やミスが増えてきたため、そろそろデジタル化を本格的に進めようと取り組み始めました。
「Odoo」という選択:バックオフィスDXのプラットフォーム
私達がこの活動を進めるにあたり、バックオフィス業務のプラットフォームとして「Odoo」を選択しました。日本ではまだ無名なこのソリューションを選んだのはなぜか?考慮したのは下記のポイントです。
「ちょうどいい」サイズ感と機能群
本社のシステムは機能過多だが、Excel管理は非効率で限界。その中間にある、成長企業にとっての「最適解」でした。加えて、チャット・ドキュメント管理・Wikiのような情報共有や、Webサイト構築・SnSマーケティング等のフロントエンドの機能もあり、ひとつのソリューションで必要なものがひととおり揃うことは大きなメリットでした。
多言語・多国籍対応
本社のシステムをそのまま展開できないもう一つの理由として、多言語対応と各国の税制・法令対応という観点もありました。現在はシンガポールと東京にオフィスがありますが、プロジェクトは東南アジアに限らず世界各国で進めているため、ユーザー単位での言語切り替えや、各国の税制・法令に対応していることは必須条件です。
圧倒的なコスト効率と拡張性
ユーザー単位のライセンス体系で1ユーザーあたり月数十ドルという低コスト。まずは必要な1機能から使い始め、組織の拡大に合わせて徐々に活用範囲を広げられるアプローチも、ビジネスや組織の規模が速いペースで変化していく我々にとっては大きな要素です。
エンジニア不要の導入/ノーコードでの即時改善
Odooは、クラウド・サブスク型で即座に開始でき、専任のIT担当がいなくても使い始められる直感的な操作性を持っています。また、 現場の要望に応じた簡単なカスタマイズがノーコードで完結するため、自分たちの業務フローに合わせて、自動化のワークフローを追加したり、必要なデータ項目を追加したりも簡単にできます。

Quick Start & Agile: ”とにかく使ってみる!”で進める手触り感のあるDX
今回、バックオフィスのDXを進めるにあたり、上記のOdooの特徴を活用した進め方を実践しています。1APP(機能)、1ユーザーからすぐに始められて順次拡張していけるメリットと、使いながら自分たちの業務にフィットするように調整していけることをフル活用して、”まずは使ってみる!”という旧来のERPではあまりない、現代的なアプローチをとっています。具体的には、
最初から全員ではなく、一部のメンバーでのテスト利用から始めています。テスト利用しているメンバーが慣れ親しんだら、その人たちが各部署のエバンジェリスト(布教者)となって全社に広げていきます。
- 段階的な機能導入で、Odooの使い方に慣れてもらうのと、便利さを実感しながら広げていくアプローチを取っています。たとえば人事領域としては下記のとおりです。
Step-1 有給残日数管理と休暇申請のセルフサービス化
Formでの有給申請とExcelでの取得日数・残日数管理をOdooに移管するところから始めました。担当者に聞かないと自分の残日数がわからない状況から、ダッシュボードで取得実績・残日数を自分で確認できるようになり、承認プロセスや管理者側の一覧管理も簡単にできるようになりました。
※ セルフサービス化で問い合わせややり取りの工数が大幅に削減
Step-2 経費精算のデジタル化
次に、出張経費などの経費精算を、Excelテンプレへの記入・Formでの申請から、Odooでの申請・承認へと移管しました。これにより、管理者側がFormでの申請を転記したり、レシート等の添付ファイルをコピーしたりという手間をなくし、手間の削減と抜け漏れ防止を実現しています。
Step-3 勤怠申請のデジタル化
現在進めているのは、こちらもExcelテンプレへ記入してもらっている勤怠申請のOdooへの移行です。コンサルティングビジネスの場合、毎日の勤務時間の申請だけではなく、何時間をどのプロジェクトや業務にかけたのかを入力・集計する必要があるため、案件管理や管理会計との連携が必要になります。これらもOdooに移管することによって、システムでのデータ連携ができるようになるため、人事関連でのDXとしては一番目玉となる活動になります。 他にも同時並行で下記の領域でのDXを進めています。
① Odooでのウェブサイトの刷新・日英対応(業者依頼から自社メンテに変更し、コンテンツを拡充)
② 採用プロセス管理(Open Position、候補者、採用ステージを一元管理し、カンバン形式で管理)
③ 契約・請求管理(承認プロセスの標準化、電子著名、各案件の請求書発行・入金突合せの一元化・自動化)
※申請・承認プロセスもワークフローで自動化・一元管理
それぞれ基本的には、もともとの標準機能でできることから始めます。その上で、適宜、必要であればノーコードでの修正をかけていきます。専任のエンジニアではなくても比較的簡単にできるので、大きな工数やお金をかけずにこのように同時並行的に進められています。
実際に使ってみると、ちょっとした使い心地の違いで生産性が変わることがあったり、”慣れたら思っていたよりも便利!”と感じる点があったり、もっとこんなことができたらいいかも!といった更なる改善のアイデアが出てきたりします。
※携帯アプリのように気軽に使えるUI(モバイル・タブレットにも対応)
DXとは、デジタルを活用した業務改善の無限ループの構築
我々が日々、ITコンサルティングの仕事をしている中で感じる基幹システムの領域でのDX(Digital Transformation)の一番の大きなチャレンジは、プロジェクトのゴールが”システム導入”自体に(実質的に)なってしまって、本来的な業務の効率化や高度化の議論や取り組みがとても小さくなってしまいやすいということです。
その懸念があった中で、Odooのアーキテクチャーにより実現できた「とにかく使ってみる!」というこの手触り感のある進め方は、業務の効率化を主題とした本来のDXの活動が実現できていると感じます。
本来的にDXとは、何か特定のシステムを導入するプロジェクトではなく、最新のデジタルを業務の中にどんどん組み込んで業務改善を実現していく、そのサイクルや文化をつくることです。
そのためのプラットフォームとして、幅広い領域のDXに対応する、柔軟な導入/活用ができるプラットフォームを最初から選んでおくというのはとても大事です。その点で、バックオフィスの一通りの機能が揃っているOdooは、数名から数百名の海外拠点での活用にはとても適しています。
FGD x OdooでバックオフィスのDXをご支援
私たち、フューチャーグループが培ってきた高度なITと経営の知見をベースに、システム導入ではなく、デジタルを活用した業務の改善・改革をご支援しています。
今回ご紹介したバックオフィス業務についても、同じようにマニュアルでの作業・熟練者の知恵と経験に頼った業務オペレーションをされており、システム化・デジタル化を進めたいという声を伺います。
私たちの実体験にも基づき、推進体制や進め方も含め、手触り感のある解決策のご提案・プロジェクトの立上げ/推進をご支援いたします。
「1つの機能から始めて、使いながら進化させる」
まずはバックオフィス業務のDXを、FGDと共に始めてみませんか?
